交通事故後遺症/むち打ち症・外傷性頚部症候群/外傷性腰部症候群

自動車の追突、衝突、急停車、などによって頚が鞭(むち)のようにしなり過伸展されると同時に、頚や背中、腰の筋肉が防御的に過剰収縮することで、筋肉や靭帯などの軟部組織の部分断裂や出血が生じ、神経が圧迫されます。

俗に「むち打ち症」と呼ばれ、長期間にわたって頚部痛(けいぶつう)、肩こり、頭痛、腰部痛、手のしびれ、足のしびれ、などの症状が続きます。頚の交感神経(こうかんしんけい)が障害されると、めまい、不眠、吐き気などの症状も伴います。

交通事故後遺症の一般的な治療

急性期:
頚椎カラーの着用による固定と安静
湿布処置
消炎鎮痛剤 ビタミン剤などの処方
慢性期:
物理療法、牽引療法、運動療法

交通事故後遺症に対する遠絡療法

頚や腰の痛み・手足の痺れ(しびれ)に対して

外傷によってダメージを受けた脊髄、脊髄神経、筋、靭帯などの軟部組織には、炎症が起きています。炎症が起きている部位は、ライフフロー(血液、リンパ液、髄液、イオン、ホルモンなどの代謝活動の流れ)が滞ったり、詰まったり渋滞します。ライフフローが滞った場所には、鈍痛や重み、突っ張り感などの牽引痛が生じます。

詰りによってライフフローが狭くなるととズキズキという疼痛となり、完全に詰まるとそこから先の部位にビリビリという痺れが生じます。頚部の流れが詰まれば、頚肩に鈍痛と牽引痛、腕や手指に痺れの症状が起きます。

遠絡療法により、頚や腰の脊髄、脊髄神経、筋、靱帯などに影響するライフフローを回復することで、炎症の鎮静化を促進することができます。遠絡療法は、疼痛部位や炎症などが起きている部位を直接触ることなく治療を行うことができるので、外傷後安静固定が必要な早期から治療を開始し、早期改善、慢性化を防止することができます。

また、通常の治療では難しい、脊髄などの深部の微細炎症も改善できます。
発症後数ヶ月経っても治癒せず、他で「症状固定」と診断されたものであっても、改善できる場合が多々あります。

【症例1】
追突事故から半年たっても治らなかった手指の痺れと握力低下の改善例(80歳 男性)

この男性は、2014年11月に、交差点で信号待ちをしていたところ、後ろから追突され、その後、頚の痛みや頭重感、時々起こるめまい感と共に、両側上腕~手指の痺れが強くてボタンが思うようにはめられない状態となりました。牽引や電気治療、マッサージ等の理学療法を継続していましたが、両上腕から手指の痺れは、ほとんど改善がありませんでした。

ところが、4月より遠絡療法による治療を月2~3回物理療法に併用したところ治療4回目、5月末には指の痺れは改善し、完全に出なくなりました。ボタンを目で確認しなくても手触りのみではめられるようになり、着替えにも全く支障をきたさなくなりました。

さらに、遠絡療法による治療を4回程度続けたところで、指先に残るわずかな違和感も無くなり、握力ももとどおり改善し、ゴルフのクラブも振れるようになりました。

解説:

この男性は、もう少し遠絡療法の開始が遅ければ、症状固定で後遺障害となるところでした。事故の衝撃による頚椎部の微細炎症は遷延化し、慢性的に脳幹部や間脳への血流や脳脊髄液の循環が滞る為、自律神経や内分泌、脳神経の働きにも影響し、精神的にも影響を与えます。早めに、遠絡療法で対応させていただくことで、このような状態に陥ることを予防することが可能です。

【症例2】
交通事故に出現した頚部痛、頚の重度運動制限、顔面の無表情、動作緩慢、よだれ、呂律が回らない等の症状が改善した症例(65才 男性)

63才 7月1日交通事故後にあい、鞭打ち症状(頚の痛み、頚の重度運動制限)。7月30日同窓会で挨拶をする際に「言葉がうまく話せない」「よだれが出る」などがありました。

9月30日箸で食べ物を挟むことが出来なくなり、
10月1日顔が無表情となり、身体の動作が鈍くなりました。

翌年5月に呂律が回らない(構音障害)が出現し、遠絡外来に来院されました。

初回治療後、頚の痛みは消失し、動きも良くなり、よだれも止まりました。
顔の表情も戻り、身体の動作も軽やかになりました。

解説:

頚の痛みや運動制限は、頚椎の鞭打ちによる症状です。

表情が無くなる、動作緩慢などの症状は、髄液が頭部に蓄積されたことによるものと推測されます。

アトラス(第1頸椎部)の炎症で延髄背側の正中孔が圧迫されると、第4脳室、→中脳水道→第3脳室→Monro孔→側脳室と髄液の蓄積が起こり、側脳室が拡張されます。すると、まずは側脳室前角の拡張により視床前部が圧迫され、細胞の圧迫により股関節の麻痺がおこり、両下肢が重く上げにくくなります。更に進行すると、視床の後角が圧迫され、肩関節の麻痺がおこり、両上肢が上げにくくなります。さらに、脳室が全体的に拡張すると大脳辺縁系が圧迫されることにより、運動性感情障害、無表情、無動(動作緩慢)などの症状がでます。

呂律がまわらない原因は舌の神経細胞の圧迫による麻痺と考えます。舌根部を全体的にコントロールするのは舌咽神経です。しかし、舌の痺れは迷走神経が関係します。舌の左右への動きは舌下神経がコントロールします。構音障害は脳神経の9番、10番、11番が関与します。(球麻痺)

「よだれ」は顔面神経(第7脳神経)の麻痺で出現します。
顔面神経は「橋」のあたりの障害です。「橋」は、意識障害と関係しますから、交通事故の際に意識障害があったことも推測されます。
言葉がなめらかに話せないのは、大脳の前頭葉の障害もあったと考えられます。

【症例3】
交通事故後、遠絡医学的知識による分析で「低髄液圧症候群」と診断し、頭痛が改善した症例(60代 男性)

60代男性。平成25年5月15日、乗用車を運転中、赤信号で止まっている時に、後続車に追突されました。
頚部痛、頸椎運動制限、背部痛、腰痛、上肢の痺れがあり、激しい頭痛を伴いました。他院の整形外科を受診、理学療法を受けましたが、頭痛が軽快せず脳外科を受診。頭部CTは異常所見なし、外傷性頸部症候群の診断のまま、リリカ、筋肉弛緩剤の処方をされ、理学療法の継続加療をしていました。

1年間のリハビリ治療をしましたが、頭痛などの症状を軽快しないため、当院へ紹介されました。

初診時に、頚部の重み、頚部後屈困難、上肢の痺れ、不眠、めまい、倦怠感、座位時の激しい頭痛の訴えがありました。
遠絡医学の知識により「低髄液圧症候群」と診断し、頭痛は遠絡療法による治療で、その場で軽快しました。

脊髄液が漏れを確認し確定診断をするために専門病院へ紹介し、低髄液圧症候群と確定しました。その後、その病院で硬膜外自家血注入2回を施行し、他の諸症状も軽快することができました。

解説:

遠絡医学的に、低髄液圧症候群の原因は2種類あります。
ひとつは、交通事故等の外傷によるアトラスの炎症が原因となるものです。延髄背側の正中口を圧迫し、髄液が下の中心管へ流れないため、脳髄液減少症を生じ、「低髄液圧症候群」になります。MRI検査では、延髄の腫れ所見、及び延髄と小脳の距離の狭窄がみられます。

もうひとつの原因は、「脳脊髄液減少症」です。脳脊髄腔を覆っている硬膜に亀裂などが生じ脳脊髄腔から脊髄液が露出する場合です。髄液シンチグラムを行い、脊髄液がクモ膜下腔に露出している像がみられれば、診断が可能です。頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感などがみられますが、頭痛は起立位や座位により悪化することが特徴です。

遠絡医学的知識により、症状より病態を分析することで、より的確な診断、治療を行うことができた症例です。

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